2003年9月19日
カテゴリー:視察
北欧視察報告(その10) デンマーク・サムソ島〈下〉

◇太陽熱パネル設置の民家訪問◇ エリック氏宅 【13:45~14:15】
エリックさんは農家。自宅の屋根に15平方mのソーラーパネル(太陽熱板)を昨年(2002年)設置した。
ソーラーパネルの課題は、夏暑すぎること、冬熱源が足りないことと話す。(夏は、白夜に近いほど日照時間が長く、冬は全く逆に日照時間が短いため)
さらに経済的にみても効果は疑問であるが、あくまでも環境に貢献しているという自己満足のために設置したと胸を張る。
一般の方の意識も高く驚く。
◇チップ利用施設・太陽熱パネル設置施設訪問◇ 【14:30~14:50】
太陽熱パネルを設置し、給湯に利用。太陽熱だけでは足りない部分をチップを燃やして熱源にしている。
チップは、森の中に転がっていたいらない古い木。台風などの被害により倒れた木であり、森林所有者は、片づけるのにお金がかかり、困っていたが、この施設で買い取ることになり、喜んで運んでくるとのこと。
日照時間が短いデンマークにあってそれでも太陽熱パネルまで利用とする姿勢に敬服する。
◇麦わら利用施設訪問◇ 【15:05~15:20】
チップだけではまだ熱源確保に足りないので、麦わらも利用。3㎏の麦わらが1リットルのオイルと同じ熱源になる。
余っているものを積極的に利用しようとする姿勢が見られる。日本では、さしずめ稲作のわらを利用していくといったところか・・・。
◇陸上風車見学◇ モンス・マレー氏の農場 【15:45~16:20】
この島の風車設置の最大の特徴は、協同組合方式によるところである。いわゆる「風車株」というものを買い(出資)、協同で風車を持ち合う。1口3万クローネ(約54万円)で募っている。
洋上に10基設置されているが、9基については、島民やサムソ市が出資して建設できた。残りの1基分だけ島民以外にも出資者を募って建てた。
また、陸上には、11基の風車があるが、そのうち3基をモンスさんが銀行から借り入れをして建設した。「償還するのに8から10年かかるが、現在までの3年間は、非常に順調にきている。この3年のなかには風の弱い年もあったので、これから先、風の強い年もあるであろうから予定どおり償還できると思う」と話してくれた。さらに「日本の金利が安いので円建てで借り入れをしている部分もある」とのこと。なかなか投資家はしたたかである。終わりに「今までの人生のなかで妻を見つけたことに次いで、この投資には非常に満足している」と笑っていた。北欧のフェミニズムの一端を垣間見た気がした。
◇サムソ・エネルギーと環境事務局にて質疑応答◇ 【16:40~17:05】
Q①:消費エネルギーの何%をまかなえるのか?
A①:電力については、100%。熱に関しては、55%が自給できている。
Q②-ⅰ:1口3万クローネから風車への投資が可能ということであるが、実際にはかなり金銭的に余裕のある島民しか出資できないのではないか?
A②-ⅰ:個人的に多くの財産を持っていて投資しているという人は少ない。銀行に行ってこれに投資をしたいので貸してくれといって申請をし、融資許可をもらってから投資している。
Q②-ⅱ:風車事業が魅力があるから無担保でも貸すのか? それとも不動産などの担保をとるのか?
A②-ⅱ:少額の場合は、風車株を担保にとり、その配当金が銀行返済になる。多額の融資の場合は、土地を担保に貸す。ただ単に事業の見込みがあるからという理由だけでは多額の融資はしてくれない。
Q③:サムソ島のエネルギー自給自足の施策は、デンマーク全体に波及していくのか?
A③:この島だけで国全体のエネルギー施策をどうこうするということまでは考えていない。しかし、この島で取り組んでいることをほかの地域でも取り入れてくれれば良い。
《感想》
サムソ島は、デンマークのなかでは、エーロ島と並んで観光と自然エネルギー(彼らは『再生エネルギー』と呼んでいる)の島である。
我々が視察で訪問したとき東京大学大学院新領域創成科学研究科の女性がサムソ島に滞在していました。彼女は、2ヶ月かけて北欧の環境エネルギーについて現地調査をしていました。日本では、屋久島プロジェクトに参加しているとのこと。
まだ年間300人ぐらいしか日本人が視察に来ない島ですが、これから多くの自治体関係者や自然エネルギーに関心を持っている皆さんが、この島を訪れるようになると感じました。まだまだ視察の受け入れという点では、慣れていない印象を受けましたが、注目される島になると確信して帰ってきました。
2003年9月19日(金曜日)