2004年6月 8日
カテゴリー:会派
滋賀視察研修報告
6月4日(金)から5日(土)にかけて長野県議会『農業振興条例(仮称)制定検討調査会』(会長:萩原清議員)では、1泊2日で滋賀県に現地調査に行ってきました。今回の調査団は、19名(議員12名,県農政部の各課長5名,議会事務局2名)でした。以下のとおり現地視察調査の報告をします。
☆6月4日(金) 午後1時25分から3時5分 『滋賀県議会』【県議会事務局・環境こだわり農業課対応】(大津市)
《調査項目》
○「滋賀県環境こだわり農業の推進について」
(1)『環境こだわり農業推進条例』について
・制定経過⇒平成13年4月『環境こだわり農産物認証制度』創設,14年8月『県政世論調査』実施,同年9月『韓国の親環境農業調査』実施,同年11月『湖国農政懇話会から提言』・『条例要綱案での県民政策コメント』実施,15年2月『県議会へ上程・審議・可決』,同年4月『条例』施行
・目的⇒より安全で安心な農産物の消費者への供給と、環境と調和のとれた農業生産の確保を図り、滋賀県農業の健全な発展と琵琶湖等の環境保全に資すること
・概要⇒『環境こだわり農産物認証制度』の位置づけ,『環境こだわり農業実施協定と直接支払い』
・『環境こだわり農産物』⇒化学合成農薬および化学肥料の使用量が慣行的使用量の5割以下・たい肥その他の有機質資材の適正な使用・農業排水の適正な管理とその他環境との調和に配慮した措置の実施
(2)『環境農業直接支払制度』について
・名称⇒『環境農業直接支払交付金』
・要件⇒『環境こだわり農業実施協定』に基づく農作物生産活動の履歴
・交付先⇒協定締結農業者,JA
・交付単価の決定⇒経営収支調査の実施
・環境便益の測定⇒環境便益調査の実施
(3)『環境こだわり農業推進基本計画』について
・基本方針⇒自然環境と調和のとれた農業生産が滋賀県農業のスタンダードになる・環境こだわり農産物を滋賀ブランドとして確立する・生産者と消費者を結ぶ食のグリーン購入を展開し全県民で支える環境こだわり農業を確立する
・目標設定⇒平成19年度(平成15年度からの5ヶ年)をめざして8項目(化学合成農薬使用量・化学肥料の使用量・河川の透視度・農業濁水防止宣言集落数・家畜排せつ物の堆肥化率・環境こだわり農産物の栽培面積・環境こだわり農産物常設コーナー設置店舗数・環境こだわり農産物の購入者率)の目標設定
・推進体制整備⇒『環境こだわり農業推進地域協議会』の設置など
(4)『環境こだわり農産物の流通・消費の拡大』について
・ブランド確立事業⇒キャンペーンの実施,事業補助金(環境こだわり農産物コーナー化),PR強化事業,流通経路開拓事業
・グリーン購入促進事業⇒流通促進協議会の設置,エコポイント制度地域実証事業費補助金,食のグリーン購入フェア開催,『食と農と環境を考える県民会議』負担金
[成果]滋賀県の条例は、県のシンボルである「琵琶湖に負荷を与えないことを最大の目的にしている。したがって消費者団体からは『農家のためだけの条例(農業振興だけを目的とした条例)には反対である』という声が上がっていた。したがって環境保全に特化した条例になった」との説明を受けた。
一方、販売業者からは、当初、「肥料や農薬が売れなくなる」という苦情も寄せられた。しかし、「農薬を50%カットしてもしっかりとした農産物を作る」ことを目的に試験研究にも力を入れている。
滋賀県での取り組み(条例・基本計画・具体的な施策)は、長野県でも農業の振興と食の安全を両立させていくうえで大いに参考になる事例であった。
☆6月4日(金) 午後4時から4時45分 『環境こだわり農業実践の水田』見学【おうみ富士米生産組合ほか対応】(野洲郡中主町)
《調査項目》
○「環境こだわり農業の現場での取り組みについて」
[概要]
・『おうみ富士米生産組合』:滋賀県南西部「湖南地域」に位置する中主町で『JAおうみ富士中主営農センター』が事務局になり、減農薬(慣行的栽培が成分数13であるのに対し、おうみ富士米は4)・減化学肥料(慣行的栽培の窒素成分量8.4に対し、おうみ米は3.6)の米を生産するために作られた組合。
平成16年度の会員数は8名。
栽培面積は合計で11.5ha。
品種は『秋の詩』。
今後の課題は、①多くの農家がこの栽培に魅力を感じるよう、一般の米よりも更に有利な販売体制を確立すること ②この栽培をする場合、共同防除から除外しているが、虫食い状態で圃場が存在するため防除作業に支障が出てしまうこと ③認証を受けるための事務手続きや確認業務が増大しており、特にJA職員への負担が増大していること がある。
[成果]おうみ富士米の生産者から直接話を伺ったが、「琵琶湖に汚水を流さない。米の生産よりも琵琶湖の環境美化に貢献する」とのこと。琵琶湖の環境保全事業に参加するという高い意識の一端を垣間見た。
滋賀県にとって琵琶湖はシンボル。このシンボルの環境を守っていくことが県民のプライドであり、また、公費を使っていくうえで県民理解を得る最大の理由であると感じた。
2004年6月 8日(火曜日)